20110728
住宅センターの帰りに、なぎさ公園内にある「なぎさWARMS」へ。
4月にオープンしたオーガニックカフェです。
建築・インテリア・家具は小泉誠さんのデザイン。
関西で小泉デザインが見れるのは嬉しい限り。
アートギャラリーや雑貨もあるとのことで楽しみにして行ったのですが、
奥の棚にぽつぽつと置かれている状態で、売っているのか飾っているのか
正直よく分からないようなスペースなのが勿体ないなあと。
椅子も近すぎるので満席だと見に行くのも気が引けるし。
まあカフェ・ダイニングがメインということなのでしょう。

内部は吹抜けのある空間が琵琶湖畔に面しており、
折りたたみ窓を全開にできるようになっています。

さすがにこの日は暑すぎて閉めきってエアコンを効かせていましたが
もうすこし涼しくなったころに行くとよいでしょうね。
吹抜け上部から吊り下げられた大きさや高さの違うレセップ電球が
空間のアクセントになっています。
内部は和紙貼り。枠廻りも含めて全体的には至ってシンプルな納まり。
どこか和の雰囲気を残しながらも実はモダンというデザインは勉強になります。
外壁はランダムな大きさの押縁を付けた木壁を黒く塗った仕上げ。
屋根は北側に向けて高くなる片流れに一部段差をつけた外観で、
こちらもシンプルなデザイン。

ちょっと樋が煩いかなとも思いますが軒の出があまりないので
垂れ流しにすれば外壁がすぐに傷むでしょうし、やむを得ないのかな。

エントランスは吊レールを木枠で囲った木製引戸で、
戸当りはガラスの小口に付けたステン枠。
引手はスチールのアングルで、このあたりのディテールはすごいです。

店舗だから出来るというところもありますが、見習うべき部分の多い建物です。
琵琶湖に行かれた際には是非!
なぎさWARMS | 18:41 | comments(0) |
20090907

建築関係者に限らず、京都に来られた際には是非見に行ってみてとお勧めするのが、
岩倉・幡枝の円通寺です。比叡山を借景とした枯山水平庭が有名な寺院で、
洛北のアクセスに不便なところにあるのですが、それでも行く価値があると断言します。
先日大阪から来られた客人を連れて、数年ぶりに行きました。

庭というと、右京・竜安寺の「石庭」が有名です。箒目の付いた白砂、配置された15個の石、
油の塗られた土塀により構成された空間は、禅の思想を表現するものとして
海外にも広く知られています。「何を表現しているか」を明確にしないことにより、
解釈を見る人に委ねているわけですが、それゆえ観念的な禅問答をビジュアル表現に変換
したような印象を、見る人に与えます。

円通寺の庭は、竜安寺のそれとは対極にあるものです。
比叡山を背景に、縁側と軒先でフレーミングした構図が描けるよう計算された建物の配置。
畳に坐した時の目線レベルに切りそろえられた生垣により水平線を設定し、
ソトの木立の幹と、ウチの柱配置やスパン(柱間)を近似的にすることで
遠近感を誰でも感じられるように設計されています。

庭の左手に埋められた石は紀州の海石ですが、見えているのは僅かで、
そのほとんどは地中に埋められています。
それは言わずもがな海洋の島々と大海原を模していることが分ります。

などなど、、、「こう見てほしい」という明確な作者の意図がわかる庭は、
竜安寺「石庭」と違い観念ではなく、エモーショナルな視線を計算したものなのです。

江戸時代初期(1639)に後水尾天皇により建立されたとされる円通寺ですが、
1600年と言えば狩野探幽が二条城や大徳寺の障壁画を水墨画で描いていた時代。
このような西洋の遠近法=パースペクティブを、自然と人工的建造物で表現するという
壮大なスケール感は、先進的な試みであったのではないかと思われます。

数年前に裏山が宅地開発され、借景の中に建物が建てられることになったため、
一時はもうこの風景は見られなくなるのではないかと言われていましたが、
なんとか座った位置からは建物は見えませんでした。
しかし立ち上がると建売りの街並みが見えてしまうため、非常に残念に思います。
せめて和風の屋根が連なるような景色であれば、また印象もかわるのでしょうに。
建築に携わる一人として考えさせられます。

円通寺は昔、写真撮影禁止だったのですが、この風景を是非記録しておいて下さい
との住職の意向により現在は撮影可能となっています。(YAS)

◆円通寺:京都市左京区岩倉幡枝町、駐車場あり
 拝観時間:10:00〜16:30(12〜3月は16時まで)

岩倉・円通寺 | 17:28 | comments(0) |
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